第21回日本山岳耐久レース(通称:ハセツネCUP)が終了した。
今年は2度目の出場。目標はサブ14(14時間切り)。昨年の記録更新も視野に入れた挑戦であったが、結果は16時間24分。完走は果たしたものの、目標達成も記録更新もならず、悔しさが残るレースとなった。
前半|記録更新への手応え
第1関門(浅間峠)を4時間1分で通過。昨年よりも42分早い好タイムで、序盤から調子は良好だった。続く第2関門(月夜見第二駐車場)も8時間43分と、昨年より21分早く通過。
ここまでは、目標達成の可能性を十分に残す展開であった。
崩壊のはじまり|大岳山手前の失速
しかし、50km地点の大ダワを過ぎたあたりから雲行きが怪しくなる。
大岳山の手前で突然、気分が悪くなり、足が一歩も前に出なくなった。おそらく疲労のピークと前半のオーバーペースが重なり、身体が完全に悲鳴を上げたのだ。
休憩をとっても回復はせず、走る力はまったく湧いてこない。精神的にも打ちのめされ、心が折れる。
だが、それでも「歩いてでも前に進もう」という気持ちだけは辛うじて保ち続けた。
リタイアの葛藤
55km地点、大岳山の山頂に到達。ここで一度、リタイアが頭をよぎる。
とはいえ、大岳山でリタイアはできない。第3関門(長尾平)まで自力で歩くしかない。
残された補給食は、ジェル3つ、固形物1つ半。水分は十分。ここで冷静に判断を下す。「ハンガーノックを起こさずに行動できる時間は約3時間半」。
山頂で固形物を少しずつ水で流し込み、なんとかエネルギーを補給。意を決して歩き出す。
第3関門からの死闘
58km地点の第3関門は13時間40分で通過。昨年よりも56分遅いタイムとなった。
しかし、ここで「リタイアする」という選択肢は完全に消えた。
もはやタイムではない。「どうしてもゴールしたい」という一心だった。
日の出山の山頂でジェルをもう1つ補給。残り1個のジェルは緊急用として温存する。金比羅尾根で万が一、ハンガーノックで行動不能に陥ったときのためである。
残りは約10km。体力はほとんど残っていない。ただただ歩く。何十人ものランナーに抜かれていく。
最後の力でゴールへ
金比羅尾根を下り、市街地に入る。灯りが見える。ゴールが近づく。
最後の500mだけ、残っていた力を振り絞って走った。16時間24分。フィニッシュラインを越えた。
仲間とともにあるゴール
ゴールには、参加者・応援者あわせて10人以上のチーム仲間が出迎えてくれていた。
孤独な戦いだったはずなのに、最後に感じたのは「チームで走ったレース」だったという実感。
あの暖かい出迎えが、どれほど心に沁みたことか。心から、ありがとうと言いたい。
ハセツネというレース
ハセツネにはひとつのルールがある。それは「必ず生きて帰る」こと。
24時間以内に、他人の力を借りず、自力でゴールする——それがこのレースの本質だ。
このルールを守り抜き、完走できたことには大きな達成感がある。
しかし、目標だったサブ14の達成も、昨年の記録更新も叶わなかった。
これは紛れもない事実であり、自分自身に対して悔しさを感じずにはいられない。
最後に
この悔しさを、これからの1年、忘れることなく過ごしていく。
もしまた、ハセツネへのエントリーの機会を得られたなら——その時こそ、会心のレースにしたいと心から願う。
ハセツネの借りは、ハセツネで返す。
2 コメント
神山さん、お疲れ様でした。完走しても悔いが残るレースはありますよね。次のレースへのモチベーションにはなりますが…私も今月、八ヶ岳107Kmの自転車レースに参加しました。完走はしましたが、結果は散々でした。前半調子がいい時ほど要注意ですね。12%の坂をペダル回しても6Km/h、歩いても4.5Km/h、心折れかけました。来年は私もリベンジです!お互い頑張りましょう。
*ランはさぼり気味、今年はあと10kレースにエントリーしているだけ。ダメダメです。それでは!
宮下さん、いつもコメントありがとうございます。数日経っても今だに悔しさが消えません。その割には次に向かうモチベーションにまだ上手く転換させられていません(笑)。100倍返しでリベンジですね。お互い頑張りましょう。