2025年は、複数回に分けて九州を一周するロングライドに挑戦している。
11月12日から25日までの14日間、熊本駅を出発し、福岡県・佐賀県南部を経て長崎駅までを走破した。
本記事では、その第三弾となる旅の日々を綴っていく。
DAY9:2025年11月20日(木)
島原 → 南島原 → 小浜
移動距離:64km(累計485km)
累積標高差:467m(累計3,761m)
黄色い列車と途切れた線路
島原半島のローカル線・島原鉄道。その現在の終着駅である島原港駅に到着すると、ちょうど入線してきた「幸せの黄色い列車」に出会うことができた。
島原鉄道は、諫早駅と島原港駅を結ぶ全長43.2kmの路線である。かつては島原半島南側まで海岸線に沿って走っていたが、沿線人口の減少を理由に2008年に一部区間が廃止されたという。
雲仙普賢岳噴火――保存家屋が語る災害の記憶
まず向かったのは、道の駅ひまわりに併設された土石流被災家屋保存公園。 1994年の雲仙普賢岳噴火に伴って発生した土石流災害で被害を受けた家屋が、当時の状態のまま保存・公開されている。自然災害の凄まじさと、その恐ろしさを改めて痛感させられた。
原城跡――天草四郎の足跡を辿る旅、その一区切り
次に訪れたのは、世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」のひとつ、原城跡。 島原・天草一揆の終焉の地であり、わずか16歳の天草四郎を中心に、約4か月にわたる壮絶な戦いが繰り広げられた場所だ。
この夏に訪れた天草四郎ミュージアムと天草キリシタン館、そしてこの原城跡。 天草四郎の足跡を辿る旅は、ここでひとつの区切りを迎えた。この静けさの中に、確かに積み重なった歴史の重みを感じていた。
廃線跡のサイクリングロードと、橘湾へ続く穏やかな道
島原鉄道の廃線跡がサイクリングロードとして整備されている区間もあり、のんびりとペダルを回す時間が続く。
途中、江戸後期に架けられたとされる金浜眼鏡橋にも立ち寄った。小ぶりながら、どこか凛とした風情ある佇まいが印象に残る。
小浜温泉へ向け、橘湾沿いをひたすらに走った。
湯けむりの町・小浜温泉――足湯と「おたっしゃん湯」
本日の目的地の小浜に到着。宿のチェックインまでまだ時間があったため、「小浜温泉足湯 ほっとふっと105」で足湯を楽しんだ。
それでも時間を持て余し、さらに立ち寄ったのが脇浜温泉浴場。 昔ながらのレトロな共同温泉浴場で、通称は「おたっしゃん湯」。 さっと湯浴みを済ませ、一日の終わりに相応しい余韻を抱えたまま、本日の宿へと向かった。
島原半島を走り抜けた一日は、過去と現在が幾重にも重なる時間だった。
噴火災害の痕跡、原城跡に漂う静寂、廃線となった鉄路の名残。
それらはすべて、ここで生きてきた人々の時間の積層なのだろう。湯けむりに包まれた小浜の街並で島原半島の記憶は静かに胸の奥へ刻まれていった。






