2025年は、複数回に分けて九州を一周するロングライドに挑戦している。
11月12日から25日までの14日間、熊本駅を出発し、福岡県・佐賀県南部を経て長崎駅までを走破した。
本記事では、その第三弾となる旅の日々を綴っていく。
DAY7:2025年11月18日(火)
諫早 → 雲仙
移動距離:65km(累計392km)
累積標高差:1,220m(累計3,092m)
雲仙岳へ向かう一直線 ― 雲仙多良シーラインの開放感
まずは雲仙多良シーラインへ向かった。諫早湾干拓堤防の上を、約8kmにわたって一直線に伸びるこの道路は、正面に雲仙岳を望みながら走ることができる。視界を遮るものはほとんどなく、海と空に包まれるような開放感があり、走っていて実に気持ちの良い区間であった。
時がゆっくりと流れる町 ― 神代小路の武家屋敷群
続いて訪れたのは、旧鍋島邸住宅をはじめとした武家屋敷群が残る、雲仙市の神代小路。歴史を感じさせる美しい街並みが今も大切に守られており、静かで落ち着いた佇まいが印象的だった。自転車で走っていても、自然とペダルを緩めたくなるような空気が流れていた。
海と線路が出会う場所 ― 大三東駅という特別な風景
そして、島原鉄道の大三東駅へと向かう。「日本一海に近い駅」として知られるこの駅は、ホームのすぐ目の前に有明海が広がる絶景スポットである。駅に立つと、線路の先にそのまま海が続いているかのような、不思議で印象的な光景が広がっていた。
旅最大の試練 ― 大三東駅から雲仙温泉への“地獄の登り”
しかし、この日の旅はここからが本番だった。大三東駅から雲仙温泉までの距離は約16km、累積標高差はおよそ900m。今回の旅の中でも最大の難所である。延々と続く登りは、まさに“地獄”と呼ぶにふさわしく、息は荒くなり、何度も心が折れそうになった。膝は限界に近づき、ズキズキと痛みを訴えていたが、それでもペダルを回し続け、なんとか雲仙温泉まで登り切った。
湯けむりと紅葉に癒やされて ― 雲仙地獄を歩く
雲仙地獄では自転車を降り、しばし散策を楽しんだ。紅葉を背景に立ちのぼる湯けむりは美しく、道路のすぐ脇から勢いよく噴き上がる様子は迫力満点である。登りで消耗しきった身体に、雲仙の景色と空気が静かに染み渡っていくのを感じた。
雲仙地獄に立ちのぼる湯けむりを眺めながら、この旅は「走り切ること」よりも、「どこで立ち止まるか」を問われているのだと感じていた。
腰と膝に溜まった痛みは、これまでの距離と標高を正直に物語っている。無理をすれば先へ進めるかもしれないが、それは旅を続けることではなく、身体を削り尽くすことなのだろう。
明日の雲仙岳登山プランは、変更せざるを得ない。 だがそれは後退ではなく、この旅を長く続けるための選択である。 登らなかった山は、またいつか登ればいい。 今日ここまで自分の脚で辿り着いた事実だけは、湯けむりの向こうに、確かに残っていた。



