2025年は複数回に分けて九州を一周するロングライドに挑戦している。その第二弾の記録をお届けする。7月22日から8月4日までの14日間、鹿児島県・志布志港から熊本までを走破した。総走行距離は955km、累積標高差は9,560mに及んだ。
DAY10のハイライトは、鹿児島県から九州一周旅5県目となる熊本県への県境越えだった。
DAY10:2025年7月31日(木)
いちき串木野市→ 阿久根→長島→蔵之元港→(フェリー)→ 牛深港→ 熊本県天草市牛深泊
移動距離:81km(累計746km)
獲得標高:1,028m(累計8,199m)
いちき串木野〜薩摩川内|酷暑のスタート
この日は最高気温35度近い酷暑予報。炎天下のライド時間短縮のため当初の計画を変更することにした。出来れば、牛深港16時発の便から1本早い14時40分のフェリーに乗りたい。
宿を出発し、国道3号線を辿って薩摩川内市を目指す。
スマホのGoogleマップをナビとして、薩摩川内市の人形岩をまずは序盤の目的地として最短ルートを選択した。ナビは必ずしも主要道を選ぶとは限らず、細道や峠道に導かれることもある。実際に走ってみると想像以上の坂道で、思わず声が漏れるほどの急坂だった。
山を越え、橋を渡る。
川沿いを下り、稜線上の風力発電施設を横目に再び峠道へ。
田園地帯を抜けて海岸沿いへと景色は移り変わり、走っていて飽きることがなかった。
阿久根〜長島|人形岩と黒之瀬戸大橋
肥薩おれんじ鉄道の薩摩高城駅近くの「薩摩高城館ら.ら.ら」に立ち寄り、東シナ海を眺める。
薩摩川内市の海岸線に立つ「人形岩」。まるで海に立つ人の姿のように見えることから、この名が付けられている。夕日の名所でも知られている。
暑さで完全にバテ、「道の駅阿久根」へ。食堂は開店前で利用できず、エアコンの効いた売店を歩き回り一時の涼を取った。座れる場所がなかったのは辛かった。
先を急ぎ、20km先の「ドライブイン潮騒」へ。鯛の煮魚とアラ汁で塩分とエネルギーを補給。意外にも食欲は落ちていなかった。
薩摩半島ともここでお別れ。黒之瀬戸大橋を渡り、天草諸島と隣接する長島へ入る。
長島のアップダウンと夏の花
長島では、「道の駅 黒之瀬戸だんだん市場」「城川内ふれあいパーク」に小休憩した。
長崎鼻灯台公園では見頃を迎えたひまわり畑が、夏の陽光を浴びて映えていた。
長島は海岸線を通るものの、予想以上のアップダウンと暑さに体力を奪われた。「道の駅 長島」に到着した頃には、限界に近いほどバテていた。目当てのカフェは定休日で、仕方なく売店横のテーブルで休憩。エアコンの効いた室内でようやく復活できた。
港まで残り約4km。最後のアップダウンを越え、なんとか14:40発の牛深港行きのフェリーに間に合った。待合室でスポーツドリンクを1本飲み干し、扇風機の風で生き返る思いがした。
フェリーで熊本県天草市牛深へ
平日のため、乗客は私と車1台の家族だけ。蔵之元港から天草市牛深港までは30分の船旅。運賃は自転車込みで940円。
自転車旅における船移動は、まるで「ワープ」している感覚だ。陸路では何時間もかかる距離を、海路なら一瞬で飛び越える。30分後、ついに九州一周自転車旅の5県目・熊本県に到達した。
牛深の夕暮れと宿泊
宿泊は港近くの民宿。サイクルラックを設置していただき、洗濯機や物干しを利用させていただき、快適に過ごすことができた。
口コミ通り食事の評判が良い宿であったが、この日は夕食が付けられず残念。しかし翌朝の朝食は小鉢が多数並び、写真には写っていないがこれに焼魚に納豆までついていておかずだけで満腹になった。大満足であった。
夕食は街中華で済ませたが、帰り道に港で漁船火災が発生。消防車が駆けつけ、一時は騒然となった。宿からわずか300mの距離だったため、恐怖を感じた。翌朝現場を訪れると、船はすでに引き上げられており、跡形もなく片付いていた。まるで夢の中の出来事のようであった。
振り返り|酷暑と県境越えの濃密な一日
酷暑の中、獲得標高は1,000m超。山、川、海、峠、畑、花、街、鉄道、船、そして火事騒ぎ…。酷暑とアップダウンを乗り越え、県境を越えたこの一日は、まさに忘れられない濃密な一日となった。