2025年は複数回に分けて九州を一周するロングライドに挑戦している。その第二弾の記録をお届けする。7月22日から8月4日までの14日間、鹿児島県・志布志港から熊本までを走破した。総走行距離は955km、累積標高差は9,560mに及んだ。
DAY8のハイライトは知覧特攻平和会館と知覧武家屋敷庭園群の名勝庭園巡りである。
DAY8:2025年7月29日(火)
指宿市→ 長崎鼻→ 知覧特攻平和会館→ 知覧武家屋敷群→枕崎市泊
移動距離:86km(累計589km)
獲得標高:947m(累計6,565m)
長崎鼻|薩摩半島最南端と開聞岳の絶景
薩摩半島の最南端に位置する長崎鼻へ。 目の前には「薩摩富士」と呼ばれる開聞岳が雄大にそびえ立っている。
岬には浦島太郎伝説が残されており、古来より人々がこの岬から海を眺め、物語を紡いできたのだろう。
朝の澄んだ空気の中で見る開聞岳は格別であり、これから始まる一日のエネルギーを与えてくれる景色だった。
知覧特攻平和会館|若き特攻隊員たちの遺影と遺書
長崎鼻をあとにし、海岸線から田園地帯を抜けて内陸部の知覧を目指す。真夏の日差しは容赦なく、体力を奪われてペダルが重く感じられる。
ようやく到着したのは、かねてより一度は訪れたいと思っていた知覧特攻平和会館。
館内には、若き特攻隊員たちの写真や遺書、そして最後に残した言葉が並んでいる。薄暗い展示室は張り詰めた空気に包まれ、一枚一枚の遺影から、彼らの人生や家族への思いが伝わってきた。
胸が締めつけられ、言葉を失う。 戦争の悲惨さ、平和の尊さ、そして家族愛の深さを、強く考えさせられる場所であった。
知覧武家屋敷庭園群|江戸の面影と名勝庭園巡り
続いて訪れたのは知覧武家屋敷通り。 石畳の道の両脇には白壁と生垣に囲まれた武家屋敷が整然と並び、江戸時代の町並みにタイムスリップしたかのような静けさが漂っていた。
一般公開されている六つの庭園を巡る。苔むした石、流れる水、刈り込まれた植栽――それぞれに異なる趣があり、静かな美を放っていた。
庭園を歩くと、不思議と旅の疲れが和らぎ、心が落ち着いていくのを感じられた。
茶畑と開聞岳|知覧茶の産地が生む絶景
知覧は全国的にも有名な知覧茶の産地である。 道路脇に広がる茶畑は、まるで緑の絨毯のように美しく続いていく。その先には再び開聞岳の姿。
緑の茶畑と凛とそびえる山が一体となった風景は、南薩摩ならではの絶景であった。 この光景は、この日のライドの中でもとりわけ心に残る一枚の風景画のようであった。
旅のまとめ|平和・歴史・自然に触れた一日
DAY8は、薩摩半島最南端の自然美と、知覧での深い歴史体験が凝縮された一日となった。
特攻平和会館で刻まれた平和への思い、武家屋敷庭園の静寂、茶畑と開聞岳が織りなす景観。
それぞれが心に強い印象を残し、南薩摩を走るサイクリングの魅力を存分に感じる一日であった。