北海道一周4,000km・49日間の自転車旅日記。
北の大地に広がる豊かな自然、歴史、文化、食との出会いを綴る。
【期間】2023年7月25日〜9月11日(49日間)
DAY43:2023年9月5日(火)
浜中町内の民宿 発→琵琶瀬展望台→正行寺→厚岸国泰寺跡→道の駅厚岸グルメパーク→釧路市内の宿泊施設(泊)
DAY43移動距離101km
累積移動距離3,559km
雨に煙る琵琶瀬展望台
この日も朝から雨模様。「琵琶瀬展望台」では、北に霧多布湿原、南に太平洋が広がる360度の大パノラマが望めるはずだったが、あいにくの天候で視界は今ひとつ。川が蛇行する湿原の風景をうっすらと眺めた。
厚岸で歴史を感じる
厚岸では、国指定重要文化財である「正行寺」の本堂と、蝦夷三官寺のひとつ「厚岸国泰寺跡」を訪問。さらに「厚岸神社」にも立ち寄って参拝した。
地域の宗教的・文化的な背景に触れられる貴重なひとときだった。
産地の味、厚岸の牡蠣
厚岸湾と厚岸湖をつなぐ厚岸大橋を渡り、中心街にある「道の駅厚岸グルメパーク」へ。
ここで蒸し牡蠣をいただいた。ふっくらした身は濃厚で甘みがあり、産地ならではの新鮮さがダイレクトに伝わってくる。まさに格別の味だった。
降りやまぬ雨の中を走る
この日のライドは8時間。そのほとんどが雨の中だった。
レインウェアを着ていても体はずぶ濡れで、次第に寒さが沁みてくる。タイヤが巻き上げる水と砂で自転車やバッグは泥だらけになり、心が折れそうになる瞬間もあった。
北太平洋シーサイドラインをひたすら釧路に向かって走る。
今日の唯一のモチベーションは、釧路のご当地グルメだった。
ザンギ専門店「鳥善」で本場の味
夕方、釧路の繁華街にあるホテルへ到着。屋外の駐輪場は人通りの多い場所にあったため、盗難対策として2本の鍵でしっかりと地球ロックをした。
洗濯と乾燥を済ませて、楽しみにしていたご当地グルメへ。
釧路は「ザンギ」発祥の地として知られる。まずはザンギ専門店「鳥善」へ。
メニューは骨つき・骨なしのザンギ、唐揚げ、もつ煮込み、お新香と非常にシンプル。今回は骨つきザンギを選んだ。
店内に掲示されていた新聞記事によると、
「道内産の鶏肉に天日乾燥のでんぷんをまぶし、高温のラードで一気に揚げる。特製ソースはやや甘口で、胡椒を加えてザンギに絡めて食べる」のが本場流。
衣は薄くパリッと揚がっており、ソースに胡椒のアクセントが効いた熱々のザンギは、言うまでもなく絶品だった。
老舗「かど屋」のつぶ焼きに感動
続いて訪れたのは「つぶ焼 かど屋」。厚岸産の青つぶを目の前で焼き、秘伝のタレをかけて仕上げる老舗の味。
店主と思われる方が丁寧に食べ方を教えてくれたのが印象的だった。1.タレを貝殻から飲む。2.貝を押さえながら竹串で身を刺す。3.ひねって引き抜く。4.フタを外して食べる。途中でちぎれたら、貝殻の口を下にして木皿に打ち付ければ出てくるという。
ぷりっとした食感と濃厚な旨味。〆には醤油ラーメンもいただき、大満足の食体験となった。
雨に打たれた心身を、釧路の味が癒す
一日中降り続いた冷たい雨。走行中はモチベーションも下がり続けたが、釧路の温かいご当地グルメが心と体を癒してくれた。
旅の後半、こうした「報われる瞬間」があるからこそ、過酷な日々も乗り越えられるのだと実感する。