北海道一周4,000km・49日間の自転車旅日記。
北の大地に広がる豊かな自然、歴史、文化、食との出会いを綴る。
【期間】2023年7月25日〜9月11日(49日間)
DAY37:2023年8月30日(水)
弟子屈町内のペンション発→摩周湖第一展望台→摩周湖第三展望台→硫黄山→屈斜路湖砂湯→道の駅ぐるっとパノラマ美幌峠→女満別湖畔キャンプ場(泊)
DAY37移動距離112km
累積移動距離2,971km
摩周湖、神の湖と呼ばれる理由
この日の始まりは、宿の美味しい朝食で気分良くスタート。
まず目指したのは、標高差450m、13kmの登りの先にある「摩周湖第一展望台」。
到着と同時に目に飛び込んできたのは、霧に包まれた神秘的な湖面だった。
アイヌ語で“カムイトー(神の湖)”と呼ばれる「摩周湖」は、世界でも有数の透明度を誇るカルデラ湖。
晴れていれば「摩周ブルー」と呼ばれる深い青に輝くはずだったが、この日は曇り空で、その美しさの片鱗だけが顔を覗かせていた。
さらに150m登って、3.3km先の「第三展望台」へ。角度が変わると湖の印象も変わる。一つの湖でも、場所ごとに見え方が違うのが面白い。
地球の息吹が聞こえる、硫黄山
摩周湖からは一転、600mのダウンヒルで一気に「硫黄山」へ。
風を切っての下りは爽快で、自然と笑みがこぼれる。
駐車場に着くと、目の前には蒸気を噴き上げる活火山・硫黄山が現れる。
ゴウゴウという音を立てて、白煙が空へ立ち昇る様はまさに大地の鼓動そのもの。
独特の硫黄臭に包まれながら、砂礫を踏みしめ、噴気孔のすぐ近くまで歩くことができた。
クッシーに出会えるか?屈斜路湖の砂湯へ
続いて訪れたのは、日本最大のカルデラ湖「屈斜路湖」。
自分たちの世代にとっては、「未確認生物クッシー」の存在が印象深い。
1970年代のテレビ番組などで度々登場し、ネス湖のネッシーに憧れた子供時代の記憶が蘇る。
湖面を見つめながら、どこかに姿を現すのでは…と、童心に帰って探してしまった。
岸辺の「砂湯」では、砂を掘ると温泉が湧き出す不思議なスポット。
実際に砂浜の水たまりに手を入れてみると、確かにほんのり温かい。自然の地熱を感じる体験だった。
絶景のご褒美、美幌峠のパノラマ
砂湯を後にし、さらに標高差450mを登って「道の駅 ぐるっとパノラマ美幌峠」へ。
急勾配の坂に苦しみながらも、たどり着いた展望台からの景色は360度の大パノラマ。
屈斜路湖と周囲の山々が見渡せる壮大な景観に、言葉を失った。
やはり、苦労して登った先にある風景は格別だ。汗と疲れが、一瞬で報われる瞬間
湖畔のキャンプ場で味わう、静かな満足感
今夜の宿泊地は「女満別湖畔キャンプ場」。
網走湖を望むロケーションは美しく、静かな湖畔にテントを張る。
この日の走行距離は112km、累積標高差は1,100m。
水平にも垂直にもタフな一日だったが、テントの前で飲むサッポロクラシックが体に染み渡る。
北海道の自然と対話し、身体を動かし、絶景に心を動かされた一日だった。