北海道一周4,000km・49日間の自転車旅日記。
北の大地に広がる豊かな自然、歴史、文化、食との出会いを綴る。
【期間】2023年7月25日〜9月11日(49日間)
DAY36:2023年8月29日(火)
津別21世紀の森キャンプ場 発→道の駅あいおい→相生鉄道公園→阿寒湖アイヌコタン→阿寒湖アイヌシアターイコㇿ→双湖台→弟子屈町内のペンション(泊)
DAY36移動距離82km
累積移動距離2,860km
相生鉄道公園に残る、かつての鉄道の記憶
早朝、キャンプ場を撤収して国道240号を南下。
弱い雨の中、「道の駅あいおい」で小休止し、隣接する「相生鉄道公園」を散策した。
かつての国鉄相生線の旧駅舎や貨車、人力転車台跡などがそのままの姿で残されており、かつての鉄道の面影を色濃く感じられる場所だった。
静かな空気の中、時が止まったような景色が印象的だった。
釧北峠を越えて阿寒湖へ
次に立ちはだかったのは、標高594mの「釧北峠」。
津別からの累積標高差は約700m。淡々と続く登り坂に汗をかきながら、ペダルを踏み続ける。
峠を越えると、阿寒湖温泉街に到着。
湖畔で記念撮影をしたが、空は厚い雲に覆われていて展望はいまひとつ。
ただ、湖畔に咲くコスモスを見て、確かに季節が夏から秋へと移ろっていることを実感した。
阿寒アイヌコタンで文化と人に出会う
阿寒湖畔にある「阿寒アイヌコタン」は、北海道最大規模のアイヌ集落。
木彫や刺繍、民芸品の店、アイヌ料理の飲食店などが並び、街並みそのものに独特の雰囲気がある。
旅の記念に、アイヌ紋様の手ぬぐいとワッペンを購入。
たまたま話しかけた店主がMTB好きという共通点から自転車話に花が咲き、後に駐輪場所でも再会。
なんと店のステッカーまでいただき、人との温かい交流が旅の大切な思い出になった。
魂を揺さぶる「アイヌ古式舞踊」
阿寒湖滞在中にぜひ観ておきたかったのが、「阿寒湖アイヌシアターイコㇿ」でのアイヌ古式舞踊。
ユネスコ無形文化遺産にも登録されているこの舞踊は、神々への祈りや感謝を表現する伝統舞踊であり、静かなリズムと繊細な動きの中に深い精神性が宿る。
言葉を超えて伝わってくるものがあり、心が揺さぶられるような時間だった。
双湖台で出会う、北海道の形の湖
再び自転車に跨り、阿寒横断道路を東へ。
弟子屈町へ向かう途中、「双湖台」という展望地に立ち寄った。ここまでの登りもなかなかのもの。累積標高は約450m。
展望スペースから見えるのは、「ペンケトー」と「パンケトー」という二つの湖。
手前に見える湖はなんと、北海道の形にそっくりなシルエットをしている。
これを見つけたときのちょっとした感動は、旅人だけの特権かもしれない。
美味い魚と、達人オーナーのペンション
今夜の宿は、釣り仲間に勧められた弟子屈町のペンション。
アウトドアに精通したオーナーとの会話が弾み、旅の疲れもほぐれるようだった。
夕食には、北海道ならではの珍しい魚「八角(ハッカク)」が登場。
断面が八角形で、巨大なヒレを持つ姿はかなりインパクトがあるが、食べてみれば脂が乗った絶品の白身魚だった。
人生初の八角。旅がなければ出会えなかった味のひとつ。