北海道一周4,000km・49日間の自転車旅日記。
北の大地に広がる豊かな自然、歴史、文化、食との出会いを綴る。
【期間】2023年7月25日〜9月11日(49日間)
DAY35:2023年8月28日(月)
網走市内の宿泊施設 発→モヨロ貝塚館→博物館 網走監獄→北方民族博物館→メルヘンの丘→津別21世紀の森キャンプ場(泊)
DAY35移動距離56km
累積移動距離2,778km
北方文化の交差点、網走をめぐる
前日に距離を稼いだことと、明日の行程が長いため、今日は網走周辺の見どころを計画より前倒しで巡ることにした。
まず向かったのは「モヨロ貝塚館」。
ここは、オホーツク文化を代表する遺跡であり、網走川河口に位置する古代人の暮らしの跡を今に伝える。
『ゴールデンカムイ』の舞台、網走監獄へ
続いて訪れたのは、「博物館 網走監獄」。
実際に明治時代から使われていた旧網走刑務所の建物を移築・保存した野外歴史博物館である。
リアルな人形による展示や、獄中生活の再現は生々しくもわかりやすく、明治の北海道開拓と刑務所の歴史が体感できる貴重な空間だった。
漫画『ゴールデンカムイ』の聖地としても知られており、ファンにとっては特別な場所でもある。
北方民族博物館で学ぶ、極北の暮らし
網走にはもう一つユニークな博物館がある。それが「北方民族博物館」。
ここでは、イヌイット、サミ族、アレウト族、アイヌなど、広く北方圏に暮らす人々の文化と歴史が紹介されている。
共通する生活様式もあれば、地域ごとの違いもあり、極北での知恵と工夫に驚かされる展示だった。
偶然にも、ここで以前勤めていた会社の後輩夫妻と再会するというハプニングも。
北海道の広大さを旅しているはずなのに、こんな再会があるとは。世界は意外と狭いのかもしれない。
曇り空の「メルヘンの丘」
天候は下り坂。網走を後にして向かったのは「メルヘンの丘」。
7本のカラマツが並ぶ風景は、晴れていれば抜群の撮影スポットだが、この日はあいにくの曇天。
それでも、広がる田園風景と静かな空気に心が落ち着いた。北海道らしさを感じるには十分な景色だ。
広大なキャンプ場に、またひとり
本日の宿泊地は「津別21世紀の森キャンプ場」。
森の中に広がる静かなキャンプ場に、この日も他の宿泊客の姿はなし。ほぼ貸切状態である。
さすがに初日は少し心細かったが、この広さと静けさにも慣れてきた。
夜間の雨に備えて、自転車は屋根付きスペースに避難させ、テントは木陰に設営。予報通りの雨だったが、木々のおかげで被害は最小限に抑えられた。
5週間で2,778km
今日で、旅に出てちょうど5週間。積み上げた距離は2,778km。
出発前までの最長ライドは、東京→大阪間(約500km)だった自分が、ここまで来た。
こうして距離を積み重ねられていることに、自分でも少し驚いている。
とはいえ、ランニングやトレイルランで培った体力と経験が、確実にこの旅を支えてくれている。
細かな予定変更はあっても、ここまでほぼ想定通りに進んでいるのは自信になる。
明日からはいよいよ、道東の核心部へ
明日から旅は第6週目へと突入する。
阿寒湖、摩周湖、美幌峠、斜里、ウトロ、知床峠、羅臼、野付崎、根室、納沙布岬、霧多布岬といった道東のハイライト区間が控えている。
広さも、険しさも、見どころも、一層増すエリア。
自分がどこまで走れるか、期待と緊張が入り混じる夜だった。