北海道一周4,000km・49日間の自転車旅日記。
北の大地に広がる豊かな自然、歴史、文化、食との出会いを綴る。
【期間】2023年7月25日〜9月11日(49日間)
DAY17:2023年8月10日(木)
トリフィートホテル&ポッドニセコ 発 → 神仙沼 → 道の駅いわない → 道の駅オスコイ!かもえない → 神威岬 → シララ姫の湯 → 道営野塚野営場(泊)
DAY17移動距離107km
累積移動距離1,319km
地獄の峠越え、ニセコ連峰へ
倶知安町から、ひたすら登り続けてニセコパノラマラインへ。標高差はおよそ660m。荷物満載の自転車は重く、一番軽いギアにしても進まない。息が切れ、脚が止まりそうになるたびに「泣きたい…」と本音がこぼれた。
途中、蘭越町側では地熱調査中の事故現場を通過。かつて蒸気噴出によるヒ素の検出がニュースとなった場所で、今は埋め戻されているとはいえ、通り過ぎる間もやや緊張が走った。
誰もいない神秘の湿原、神仙沼
ニセコ山系のなかでも特に美しいと評判の「神仙沼」へ立ち寄る。
朝が早かったためか、誰ともすれ違うことのない静寂の湿原。まさに貸切状態だった。
静けさが神秘的である一方、熊の気配を感じてしまうほど。熊鈴をしっかり鳴らしながら、慎重に木道を歩いた。
自転車に異音… 旅に忍び寄る不安
この頃から、フロントタイヤ付近から「カンカン」という異音が出はじめた。速度が上がるほど間隔も短くなり、明らかに回転系の異常。しかし、原因が特定できない。
購入店に連絡し、スポークの緩みやラックのネジ締め、スルーアクスルの再調整など、できる限りの対処はしてみたが改善されず。アドバイスとして、小樽や札幌での点検を勧められた。
結局この異音とは、旅の最終日まで付き合うことになる。
帰宅後、フロントラックを外すと音はピタリと消えた。おそらくタイヤの振動がラックに干渉していたのだろう。
今にして思えば、もっと早くプロに見てもらうべきだった。「自転車が壊れるかもしれない」という不安は、旅の楽しさを確実に削ぐ。旅を安心して楽しむためにも、躊躇せず点検に行くべきだったと痛感した。
積丹ブルーに出会う、神威岬
午後、積丹半島の絶景「神威岬」へ。“カムイ”とはアイヌ語で「神」を意味し、その名の通り神秘的な存在感を放つ場所だ。
岬の先端までは駐車場から徒歩約20分。断崖絶壁の上にある遊歩道から見渡す海は、宝石のような青、「積丹ブルー」に染まっていた。
炭酸温泉と、海辺の静かなキャンプ場
本日のひと風呂は、「ニャー助のホテルん」の「シララ姫の湯」。きめ細かい炭酸の気泡が肌を包む、やさしい温泉だった。
本来は金・土・日のみ営業だが、ダメ元でお願いすると快く受け入れてくれた。北海道には旅人に親切な方が本当に多く、その温かさに触れるたび、北海道がもっと好きになる。
宿泊は、神威岬と積丹岬の中間にある「道営野塚野営場」。浜辺なのでペグの固定を心配していたが、草地があり無事に設営完了。ただし、海辺ゆえにハエが多く、少しだけ悩まされた。