緊急事態宣言が教えてくれたこと
緊急事態は、私たちが日々当たり前だと思っていたことが、実は当たり前ではなかったことを気付かせてくれる。
新型コロナウイルスの影響で社会が大きく変容するなか、私たちの生活様式や価値観にも変化が生まれつつある。
つい2か月前までは、仲間たちと山に入り、トレイルを走った後に飲みに行くといった時間を、何の違和感もなく楽しんでいた。
そうした日常が突然奪われたことで、それらが自分にとってどれほど大切な存在だったかに気づかされた。
「当たり前」が失われた時、人は初めて、自分を支えてくれていた存在の尊さを実感するのだろう。
リモートワークと暮らしの見直し
政府による緊急事態宣言を受け、私も在宅勤務へと切り替わった。リビングが一時的な仕事場となり、生活と仕事の境目が曖昧になるなかで、自分の暮らしの「粗さ」が気になるようになってきた。
時間だけはたっぷりとある今、せっかくならば少し丁寧な暮らしをしてみようと思った。
その一環として、新しいことにチャレンジすることにした。
スパイスカレー作りである。
スパイスカレーとの出会い
スパイスカレーとは、いわゆる市販のルーやカレー粉を使わず、スパイスから作る本格的なカレーのことである。
以前は「難しそう」と感じていたが、実際に作ってみると意外と簡単で、自分でも驚くほど美味しく仕上がった。
普段、私の趣味にあまり関心を示さない妻にも「美味しい」と褒められた。
その言葉に気を良くした私は、ますますスパイスカレー作りにのめり込んでいった。
カレー沼へようこそ
チキンカレー、キーマカレー、シーフードカレー、さらには鯖缶を使った鯖カレーなど、定番のカレーを一通り作り終えると、さらなるバリエーションに挑戦したくなった。
スパイスカレーのレシピ本も何冊か購入し、毎日のようにページをめくっては「次は何を作ろうか」と考えるようになった。
気づけば、ほぼ毎日カレーを作っている。驚くべきことに、まったく飽きが来ない。
どうやら私は、完全にスパイスカレーの沼にはまってしまったようだ。
STAY HOMEの時間を、夢中になれる何かと共に
「STAY HOME, MAKE CURRY」——この言葉に象徴されるように、家で過ごす時間をただ耐えるのではなく、夢中になれる新しい何かに取り組んでみることも、ひとつの生き方である。
外に出られず、気分が塞ぎがちなこの時期だからこそ、自分の内面と向き合い、暮らしを見つめ直す時間を持つことには大きな意味がある。
これからもスパイスの香りに包まれながら、心を整える日々を大切にしていきたい。