チームで挑む、国内最高難易度の100mileレース
2019年5月11日〜12日に開催された第4回トレニックワールド100mile & 100km in 彩の国。
本大会の目玉である「100mileの駅伝の部」に、会社の同僚2人とともにエントリーした。挑むのは、3人でタスキを繋ぎながら162.8kmを走り切る超過酷なレースである。
スタート/ゴール地点は「ニューサンピア埼玉おごせ」。コースはNorth→South1→South2と順にリレー形式で走り、3周回を完走する形式である。
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Northコース:51.0km/累積標高3,045m
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South1コース:55.7km/累積標高3,100m
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South2コース:56.1km/累積標高3,280m
累積標高はトータルで9,425mに達する。これは富士山2往復以上、エベレストよりも高い累積標高である。制限時間は33時間。これまでの完走率を振り返ってみても、
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第1回:0%
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第2回:9.0%
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第3回:18.9%
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第4回(今回):16.1%
100mileソロ部門はもちろん、駅伝形式であっても決して容易なチャレンジではないことがわかる。
駅伝だからできる完走の可能性を信じて
100mileソロでの完走は到底無理。けれど、駅伝ならばあるいは——。
最初はそんな軽い気持ちでのエントリーだった。しかし、試走を重ねるうちにその甘さは打ち砕かれた。コースは過酷で、決して「一人分だけなら楽だろう」とはならないことを、痛いほど思い知らされた。
レースに向けて、最も重要な役割のひとつが「走順の決定」であった。数回にわたる試走の記録と、それぞれの現時点のコンディション、経験を考慮し、以下の走順を決定した。
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第1走:モリジー(9時間30分予定)
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第2走:自分(10時間30分予定)※夜間パート担当
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第3走:カト(13時間予定)
このタイム配分で制限時間33時間以内の完走を目指す。
レース当日、過酷な暑さと熱気に包まれて
100mile駅伝と100kmの部は午前9時に一斉スタート。100mileソロの選手たちはすでに午前7時に出走していた。
第一走のモリジーに託したミッションは「9時間30分で帰ってくること」。その間、自分は体育館で横になり、少しでも体力を温存することに努めた。
午後になると、続々と100kmの上位ランナーが体育館に戻ってきた。補給と着替えを終え、慌ただしくリスタートを切っていく。体育館の中はまるで戦場のような熱気に満ちていた。
この日は気温も高く、多くのランナーが「暑い、暑い」と口にしていた。熱中症でダウンする選手も出るなど、レースの過酷さに拍車をかけていた。今年も完走率は一層厳しいものになるだろうと予感させた。
想いを繋ぐ“襷”を受け取り、僕の出走が始まる
午後6時45分。あたりが闇に包まれ始める頃、モリジーが帰ってきた。目標タイムより15分遅れではあったが、過酷なコンディションの中、ほぼ想定通りのタイムで走り切ってくれた。任務完了である。
襷は汗でぐっしょりと湿っていた。だが、その重みは汗だけのものではない。仲間が懸命に繋いできた時間と想いが込められている。襷を受け取るという行為には、単なる物理的な意味以上のものがあると強く感じた。
「モリジー、お疲れ様。」
僕はその襷をぎゅっと握りしめ、夜の闇へと走り出した。
次回、「後半編」へ続く。