国内屈指の難コースに再挑戦するも…
2017年5月21日(日)、「星の郷八ヶ岳野辺山高原100kmウルトラマラソン」に挑戦した。
この日は天候に恵まれ過ぎたと言ってよい。野辺山高原は晴天となり、最高気温は25.3度の夏日を記録。これが後に、完走を阻む最大の障壁となる。
このコースは元々、国内屈指の難関レースとして知られているが、今回はその難しさに「暑さ」が加わった。
結果、100km男子の完走率は過去最低の50.5%という厳しい数字に。まさに「灼熱の野辺山」となった。
前回超えを狙ったが、まさかのDNF
私は今回、昨年の自分の記録を上回ることを目標に臨んだ。
だが、現実は甘くなかった。記録更新どころか、完走すら叶わぬ無念のDNF(途中棄権)という結果に終わってしまった。
敗因は脱水症状である。
序盤から現れた体調の異変
レース序盤から「なんとなくおかしい」という身体の違和感があった。
20km地点のエイドあたりから、手足の震えと血の気の引く感覚に襲われ、フラつき始めた。急いで水分と電解質を補給したが、時すでに遅し。
エイドでしばらく休むことで震えは軽減されたものの、再び走り始めると呼吸の苦しさが出てきた。
これは明らかに脱水症状の典型である。血液中の水分が不足し、全身に酸素を運ぶ力が低下するため、身体が過呼吸状態になってしまうのだ。
加えて、暑さが異常だった。
表示された気温は31度。喉の渇きは限界に達し、走るたびに命の危険を感じるほどであった。
記録更新は諦め、完走だけを目指したが…
通過タイムは10kmごとに昨年を下回るペースで推移。
自己ベストの更新はすでに絶望的となり、完走だけを目標に切り替えた。
だが、身体は正直である。
気温の上昇とともに歩きの時間が増え、心身ともに限界を迎えつつあった。
「もうダメか」「復活のきっかけはないか?」と必死に探しながらも、どこにも糸口を見出せなかった。
そして71km地点の第四関門。ついに、ここでレースを止める決断を下した。
記録は70km通過が9時間38分05秒。
暑さへの準備と補給の甘さを反省
今回の失敗は、暑さへの対策不足と補給戦略の甘さによるものだ。
もちろん、日焼け止め・二等兵帽・アームカバーなど、できる限りの装備は整えたつもりであった。
しかし、肝心な水分と電解質の摂取量が不足していた。
ウルトラマラソンでは、気力・体力・補給・準備という要素のどれか一つでも欠ければ、即座に弱点を突いてくる。
その厳しさを、今回もまた思い知らされた。
鬼門は第2関門〜第4関門の区間
今回も、最も厳しかったのは42kmから71kmまでの第2〜第4関門の区間。
直射日光を遮るものがほとんどなく、ただただ焼きつける太陽の下、気力と体力を削られ続ける。
この区間を、淡々と、何も考えずに、心を無にして進める走力が今の自分にはまだ足りない。
完走できなかったからこそ、また走りたくなる
2回目の野辺山ウルトラは完敗であった。
昨年完走できたのが信じられないほど、今回は不甲斐ない結果に終わってしまった。
だが、完走が困難なレースであるほど、完走できたときの喜びもまた大きい。
そして、完走できなかったからこそ、「もう一度挑戦したい」という気持ちが強くなる。
来年こそは、このリベンジを果たしたい。
そのためにも、今回の敗因をしっかり分析し、次に活かすしかない。