2015年10月10日〜11日にかけて長野県小海町で開催されたトレイルランニングレース「OSJ KOUMI100」を完走し、ついに夢であった“100マイラー”となることができた。
これは、トレイルランナーとしての一つの大きな節目であり、長年の目標が叶った瞬間でもあった。
KOUMI100とは
KOUMI100は、八ヶ岳連峰の麓・松原湖から稲子湯周辺を巡る32kmの周回コースを5周することで、総距離160km(100マイル)を走破するトレイルレースである。制限時間は36時間、4周終了時点(128km)に28時間の関門が設けられ、4周目以降にはペーサーの帯同が可能となる。
コースの核心部は、稲子湯からニュウへ至る標高差700mの登りと、標高2,100mからの長い下り区間である。このエリアは濃霧や視界不良時のロストが懸念され、注意が必要だ。また、終盤の林道区間(約3km)は下り基調でスピードが出る一方、ガレ場も多く、足元への集中が求められるテクニカルなセクションである。
レース結果
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総合記録:35時間36分51秒
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総合順位:47位/151人中
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男子順位:46位
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男子50代:4位
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完走者:51名(完走率33.8%)
完走率が3割強という過酷なレースを、まさに制限時間ギリギリで駆け抜けた。途中、何度もリタイアを考えるほど追い込まれたが、仲間のサポートと強い意志で最後まで諦めずに走りきることができた。
レース展開
【1~2周目】慎重な序盤戦
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1周目:5時間26分18秒(区間順位113位)
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2周目:6時間59分52秒(区間順位127位)
完走狙いのため、序盤はペースを抑えて体力温存に努めた。後に確認したところ、両周回ともに完走者中で最下位の順位であったが、自分の戦略に沿った展開であった。
【3周目】ハンガーノックと絶望の闇
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3周目:8時間37分19秒(区間順位106位)
稲子湯手前のエイドで補給不足と冷えによる胃の不調からハンガーノックを起こし、視界が揺れるほどの目眩に襲われた。心身共に追い詰められ、「もう無理だ」と思いかけた。
しかし、スケートセンター管理棟のエイドで待機していたペーサー・カトちゃんに電話相談。的確なアドバイスと温かい言葉により、かろうじて踏みとどまる。稲子湯の公衆トイレの温便座に救われ、補給を取り直し、登り返す力を得た。
【4周目】ペーサーと共に奇跡の大復活
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4周目:6時間47分23秒(区間順位13位)
カトちゃんのペーサーとしての献身的なサポートにより、息を吹き返した。時計は一切見ず、彼の背中だけを追いかけることに集中。4周目後半は土砂降りの中、川のような林道を“ゾーン”に入ったような感覚で激走。ついには28時間の関門を10分前に通過し、最終周回に滑り込んだ。
【5周目】幻覚と幻聴の果てに
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5周目:7時間45分59秒(区間順位21位)
スイーパーのすぐ前を走る“最終ランナー”として最後の周回へ。脚の疲労は限界に達し、幻聴(鈴の音)、幻覚(人影に見える木や岩)に悩まされる。
しかしニュウの難関を超えたところで、係員から「完走おめでとう」の言葉を受け、確かな希望が見えた。最後まで慎重に林道を走り、制限時間23分前に感動のフィニッシュを迎えることができた。
完走できた理由
途中で体調を崩しながらも最後まで走りきれたのは、何よりも仲間の存在があったからだ。コース上で、サポーターや同じく完走を目指すランナーに励まされ、決してひとりで走っているのではないことを実感した。
また、ペーサー・カトちゃんの冷静かつ的確な判断と力強い導きがなければ完走は叶わなかった。100マイル完走は、自分ひとりの力ではない。支えてくれた全ての人々に、心から感謝している。
振り返り
トレイルランニングを始めたのは2012年。当時、100マイル完走は夢のまた夢だった。それが70kmのロングレースを重ねる中で現実味を帯び、2015年に50歳という節目を迎える年に、100kmと100マイルというふたつのビッグチャレンジを完遂できた。
KOUMI100はUTMFのような華やかさはないが、それ以上に温かく、チャレンジャーの心を支えてくれる大会である。来年はさらに人気が高まるだろう。
3 コメント
通りすがりの読者ですが…完走本当におめでとうございます!
今月末に初めてハセツネを走ります。「自分から弱音を吐いた瞬間に、完走という大きな夢をこの手から逃すような気がしていた。」この言葉、胸に刻んで挑んできます。
コメントありがとうございます。ハセツネは私にとって、トレイルランニングの魅力にどっぷりとはまった、思い入れのあるレースです。2年ほど参加からは遠ざかっていますが、ハセツネコースは今でもメインの練習コースです。またいつかは自分の限界に挑戦したいと思っています。ハセツネは最後まであきらめずに生還した者が勝利者です!ベストを尽くし、大いなる達成感を得てください。初めてのハセツネが良いレースとなることを祈願しています!
ご返信ありがとうございました。
三頭山で水が無くなって、月夜見山の駐車場まで何回もDNFを考えましたが、弱音を心の奥にしまい込んで何とか諦めずにゴールしてきました!ありがとうございました!