雄大な北アルプスをこの目で見たくて
2015年5月17日(日)、北アルプスの残雪をこの目で見たい衝動に駆られ、燕岳(つばくろだけ)へ向かった。
天気予報は快晴。久々の高山、久々の稜線歩き。心が弾んでいた。
燕岳――表銀座縦走の起点にして、展望の名峰
標高2,763mの燕岳は、北アルプス・表銀座縦走路の起点として知られる人気の山である。
山頂付近は花崗岩の白い岩肌と奇岩が特徴的で、イルカ岩やメガネ岩などユニークな岩が点在する。だが、この山の最大の魅力は、超一級品の展望にある。
この日も、雲ひとつない快晴の空のもと、槍ヶ岳、大天井岳、穂高連峰、さらには笠ヶ岳や裏銀座の峰々まで一望できた。
まさに「これぞ北アルプス」と言うべき景観だった。
写真には収まらない、現地でしか味わえない感動
山の風景は、いくら高性能なカメラで撮っても、やはりその場で感じる空気、風、静けさまでは伝えきれない。
バーチャルの便利さを否定するつもりはないが、やはりリアルに勝るものはないと改めて思った。
とくに今回のルートである中房温泉から合戦尾根を登るコースは、標高差約1,300mを一気に登る北アルプス三大急登のひとつとして知られる。
登るのは確かにきつい。だが、その苦労があるからこそ、稜線に立った瞬間の感動はひとしおだった。
夏に向けて、新たな目標が生まれた
稜線からの眺めに魅了されながら歩くうちに、自然と心の奥から湧き上がる感情があった。
「この北アルプスを、何日もかけて縦走してみたい」。
そんな新たな目標が、いつのまにか心に刻まれていた。
この夏、再びこの稜線に戻ってくることを誓い、残雪の北アルプスをこの目に焼き付けながら、静かに山を後にした。