裏磐梯の高原へ、涼を求めて
8月某日、猛暑から逃れて、涼を求めて福島県・裏磐梯へと向かった。
南側の「表磐梯」に対して、北側は「裏磐梯」。別名「磐梯高原」とも呼ばれ、標高約800mの高原には、美しい自然と湖沼群が広がる。
磐梯山は、表と裏でその姿が一変する。
表側からは独立峰らしい堂々たる姿を見せるが、裏側はまるで別の山のように、えぐれた荒々しい山容を呈している。
この痛々しいともいえる山の姿は、1888年(明治21年)の大噴火によって生まれた。
崩落した小磐梯が北側に崩れ、川を堰き止めたことで、桧原湖、小野川湖、秋元湖、五色沼など、大小300以上の湖沼群が形成されたという。
コース概要:磐梯山〜猫魔ヶ岳〜雄国沼の周回縦走
今回歩いたのは、磐梯山・猫魔ヶ岳・雄国沼をつなぐ周回縦走コース。
行程
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裏磐梯登山口
→ 裏磐梯スキー場
→ 銅沼
→ 中ノ湯跡分岐
→ 弘法清水
→ 磐梯山山頂(1818.6m)
→ 弘法清水
→ 八方台登山口
→ 猫魔ヶ岳(1404m)
→ 猫石
→ 雄国沼
→ 雄国沼登山口
→ 国道459号経由で裏磐梯登山口へ戻る -
駐車場:ゴールドハウス目黒前(トイレ・自販機あり)
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山と高原地図コースタイム:約9時間45分
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総距離:約25km
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累積標高差:約1387m
裏磐梯スキー場〜銅沼〜弘法清水〜磐梯山山頂
登山口から裏磐梯スキー場までは砂利道を進む。
ゲレンデを登り切ると、桧原湖や雲海に浮かぶ吾妻連峰が一望できた。
銅沼周辺の幻想的な景色
途中に現れた名もなき沼では、木立が鏡のように水面に映り込む静寂の世界。
続いて現れた銅沼(あかぬま)。エメラルドグリーンの湖面と、磐梯山の荒々しい火口壁が迫力をもって迎えてくれる。
銅沼からはお花畑を抜けて弘法清水へ。
ここには「弘法清水小屋」と「岡部小屋」、2軒の茶屋がある。弘法清水から山頂へは約20分。残念ながらこの日は雲に覆われて展望はゼロ。下山時に弘法清水で再び喉を潤し、中ノ湯跡分岐へ戻る。
この辺りからは、八方台登山口から登ってくる多くのハイカーとすれ違う。
小学生の林間学校らしき50名超の大集団にも出会った。
八方台登山口〜猫魔ヶ岳〜猫石〜雄国沼
猫魔ヶ岳への静かな山旅
八方台登山口の駐車場は満車。磐梯山への最短ルートとして人気の登山口だ。
入口には、熊出没注意の看板。熊鈴は必携。
ここからのトレイルは、磐梯山の賑わいとは打って変わって静寂そのもの。
ブナの原生林の中を、ひとり静かに進んでいく。ハイカーの姿もほとんどなく、心を空っぽにして歩く極上の時間。
1時間ほどで猫魔ヶ岳(1404m)を通過。さらに進んで猫石へ。
巨岩が積み重なったような猫石からは、外輪山に囲まれた雄国沼が眼下に広がる。
雄国沼湿原と下山、そして想い
雄国沼湿原は、国の特別天然記念物に指定されている。
6月下旬から7月上旬には、ニッコウキスゲの大群落が咲き誇り、多くの人で賑わうとのこと。
次回はぜひハイシーズンに訪れてみたい。
下山は、沢沿いの雄国沼せせらぎ探勝路を選択。
水音に癒されながら、ゆっくりと歩を進めていく。最後は炎天下の国道459号を歩いて裏磐梯登山口へ無事帰着。
湖上からの憧れ、ついに実現
裏磐梯の桧原湖には、10年以上前からバスフィッシングで通っていた。
そのたびに、湖上から眺める磐梯山の雄大な姿に強い憧れを抱いていた。
今回、その憧れがついに現実となった。
心に残る、猫魔ヶ岳・雄国沼のトレイル
とくに印象的だったのは、猫魔ヶ岳から雄国沼へ続くトレイル。
大好きなブナの原生林に包まれ、ハイカーも少なく、少しだけ思いっきり走ることができた。
いま、自分にとって一番のストレス解消法は、静かなブナ林のトレイルを無心に走ること。
やっぱり、トレイルは最高
これに勝るストレス解消法はない。
改めて、トレイルの素晴らしさを心から実感した一日だった。