勝田全国マラソンに出走し、初のフルマラソンに挑戦してきた。
これまで参加した公認大会といえば、2013年の青梅マラソン(30km)と奥武蔵ウルトラマラソン(78km)の2本のみ。したがって、今回が人生初の「フルマラソン」への挑戦であった。
本音を言えば、初フルは東京マラソンを走りたいという漠然とした希望があった。しかし、その思いは通じず、今回も抽選に落選。毎年のことながら、東京マラソンの壁は厚い。
ならばと代替レースを探し、目に留まったのが「勝田全国マラソン」である。
勝田全国マラソンとは
勝田――と聞いてすぐに場所を特定できる人は決して多くないだろう。実際、筆者もエントリーするまで「勝田」がどこにあるのか把握していなかった。茨城県民の方には失礼ながら、今回の参加で初めて「ひたちなか市」に位置することを知った。
勝田全国マラソンは今回で第62回を迎える、歴史と伝統ある市民マラソンである。全国から約24,000名ものランナーが集う大会で、フルマラソンと10kmの部門が用意されている。
特筆すべきは沿道の応援と、地域全体でのもてなしの雰囲気である。私設エイドの数は非常に多く、子どもからお年寄りまで、市民の総力をあげて大会を盛り上げている様子が感じられた。
参加賞には名物「乾燥いも(完走いも)」が用意されており、ユーモアと郷土愛に溢れるセンスが光っていた。
初フルの結果と振り返り
初フルマラソンの記録は、ネットタイム3時間41分21秒。
当初は「ウルトラマラソンを走れるならフルなんて余裕では?」という声も耳にしたが、現実は甘くなかった。
30km過ぎから始まるアップダウンに脚を削られ、35kmからの直線道路では精神的に大きく消耗した。想像以上に手ごわいコースであり、「辛い」という表現が最も適していた。
トレイルランと比較されることがあるが、トレイルでは急登を歩いたり、エイドでしっかり休憩を取る場面も多い。一方、フルマラソンでは高い運動強度を保ったまま、42.195kmを走り続けなければならない。両者はまったく別種の競技であることを身をもって実感した。
今後に向けて
レース直後は「もうフルマラソンはしばらくいい」と感じていたが、不思議なもので、時間が経つにつれ、「また走ってもいいかもしれない」と思い始めている。
これが、ランナー特有の“どM気質”というものか、自分でも定かではない。
ただ一つ言えるのは、今回の体験で「走る」という行為に対する没入度が、さらに深まったということである。