2013年8月21日、福島県と山形県にまたがる吾妻連峰の主稜を、日帰り・単独で縦走してきた。最西端の西大巓(にしだいてん)を除く主稜全山を走破できたことは大きな達成感である。
吾妻連峰の魅力と概要
吾妻連峰は、活火山を擁しながらも高層湿原、池塘、森林帯といった変化に富んだ自然環境を備え、訪れる者を飽きさせない。最高峰は西吾妻山(2,035m)で、夏には高山植物が咲き誇る。
今回のルートは、以下のような変則ピストン構成であった:
■ 行程概要
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出発地/帰着地:浄土平(じょうどだいら)
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主な経由地点:一切経山 → 家形山 → 烏帽子山 → 東大巓 → 西吾妻山
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復路:東大巓分岐 → 大倉新道 → 谷地平 → 姥ヶ原 → 浄土平
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距離:約33km
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所要時間:約11時間
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時系列タイムログ
浄土平 AM5:00
一切経山 AM6:00(1:00)
家形山 AM6:30(1:30)
烏帽子山 AM7:30(2:30)
東大巓 AM8:50(3:50)
人形石 AM9:50(4:50)
西吾妻山 AM10:55(5:55)
東大巓分岐 PM12:40(7:40)
谷地平 PM2:00(9:00)
姥ヶ原 PM3:10(10:10)
浄土平 PM3:50(10:50)
主稜を行く:自然の変化と試練の連続
一切経山:噴煙を上げる火山の中腹へ
スタートは浄土平。登山開始直後から、一切経山の中腹から立ち上る噴煙が視界に入る。火山の息吹を感じながら、最初のピークへと登る。
家形山:五色沼の展望
家形山からは五色沼を見下ろすことができた。写真では伝わりにくいが、青く澄んだ神秘的な色合いである。晴天であれば、より鮮やかだったに違いない。
苦戦の笹ヤブ:家形山〜東大巓
最大の難所はこの区間。道はしっかりしているものの、身の丈を超える笹ヤブが延々と続く。2009年版の地図には記載がなかったが、アプリの2013年版には明記されていた。事前の下調べ不足を痛感する。
加えて、前日の雨で笹が濡れており、開始早々で全身がずぶ濡れ。トレッキングポールがあれば、もう少し楽だったかもしれない。
東大巓以西:湿原と花畑の癒しゾーン
東大巓を越えると、風景が一変。整備された木道が続き、足元も軽くなる。高層湿原には小さな池塘が点在し、静けさと美しさに心癒される。平日早朝ということもあり、広大な景色をひとり占めする贅沢を味わえた。
西吾妻山:最高峰ながら展望なし
最高峰・西吾妻山は、オオシラビソに囲まれ展望は得られない。静かな山頂でひと呼吸し、折り返しへと向かう。
大倉新道:徒渉とぬかるみの沢道
復路の大倉新道は赤テープ頼りのルートファインディングを要する道。水たまりと滑る岩、徒渉が続き、慎重に進む必要がある。転倒も数回。それでも水と戯れるような楽しさもあった。
谷地平~姥ヶ原:静寂の森を抜けて
谷地平からの吾妻連峰の景色は、まさに「山を歩いてきた」達成感を与えてくれる。姥ヶ原からは再び開けた湿原地帯となり、鎌沼や吾妻小富士を遠望しながら、無事浄土平へ帰還した。
まとめ:達成感と過酷さの同居した一日
吾妻連峰のスケール、火山帯の力強さ、湿原の静謐さ、そして夏の彩り。さらに笹ヤブと徒渉という自然の試練。山の魅力を余すところなく体感できた充実の一日であった。
ただし、前夜23時に東京を出発し、往路4時間半・睡眠1時間・行動11時間・復路5時間という強行軍はさすがに堪えた。特に帰りの運転中の眠気との戦いは、登山以上に過酷だったかもしれない。