2013年7月28日、奥武蔵ウルトラマラソン78km(通称オクム)に初挑戦した。
このレースの特徴を3つに要約すると以下のとおりである:
-
真夏に開催される過酷なアップダウンコース
-
「どM」なランナーたちが多数集う熱狂的なイベント
-
全26か所に設置された充実のエイドサポート
まさに「暑い」「熱い」「厚い」――激“熱”なレースであった。
レース結果と自己評価
今回の参加者は1,419名。そのうち、制限時間12時間以内に完走したのは1,307名。完走率は92.1%に達した。
私自身の記録は、9時間37分10秒。総合順位は604位。掲げていた「10時間切り」という目標は達成できた。
しかし、不思議とゴール時の充実感は乏しかった。なぜなら、レース中の自分との闘いに負けたという実感が残ったからである。特に後半、粘りを欠いた。
「もっと頑張れるはずだ」
「いや、無理するな。もう十分だ」
そんな自問自答を何十回も繰り返した。追い込むことができなかったことが悔しく、心の底から喜べなかったのだ。
だが、だからこそ――また来年も挑戦したいという思いが芽生えている。時間が経てば経つほど、あの苦しくも熱い時間が愛おしくなるのが、このレースの魔力なのだろう。
来年への展望と反省点
① 急な登りは歩いて温存する戦略
急勾配の登りは序盤から歩き、脚力を温存する作戦に切り替えた。緩やかな登りや下りではしっかりと走り、時間を稼ぐスタイルである。これは自身の走力に適した戦略であり、次回は今回の区間タイムを元に、より現実的な目標タイムを再設定したい。
後半の粘り次第では、30分以上のタイム短縮は十分に可能と感じた。
② 後半の下りでの失速対策
折り返し地点(丸山、49.2km)からの下りでスピードが上がらず、何十人ものランナーに抜かれた。タイム分析グラフにもこの失速が如実に表れている。明らかに後半の走力不足・スタミナ不足が課題であり、下りのスピード維持力強化がタイム短縮への鍵となる。
③ 定期的なエイド補給の重要性
各エイドは評判通り、ドリンク・フードともに大変充実していた。スイカやトマト、胡瓜などの夏野菜、さらにはメロン、蕎麦、おしるこ、ノンアルビールまで提供される場所もあった。これらのおかげで、厳しいレースを完走できたと言っても過言ではない。
一方で、体調変化に備えたジェルやエナジーバーなどの持参補給も必要と感じた。今回は塩熱サプリを30分おき、ZENを2時間おきに摂取し、スタート前にもジェルを1本補給した。
④ 水分補給と冷えによる腹痛対策
各エイドでは水着美女や水掛けおじさんに水をかけてもらいリフレッシュできたが、濡れたウェアにより腹が冷え、中盤で腹痛と下痢に見舞われた。応急的に「ストッパ下痢止めEX」を服用したところ、非常によく効いた。今後は常備薬として携行し、給水も「こまめに少なめ」を意識するようにしたい。ボトル装備も検討課題である。
⑤ マメ対策:シューズとソックスの選択
試走時に足小指にできたマメに悩まされ続けてきたが、本番では対策が功を奏した。シューズは安定性と相性から「MONTRAIL BAJADA」に決定。ロード区間でもその性能は安定していた。
ソックスはDRYMAXを使用。通常の素材より25倍ドライに保てるという触れ込み通り、濡れても快適な履き心地を維持できた。また、スタート前にワセリンを足指に塗布したことで、摩擦も軽減され、マメの発生はゼロであった。
結びにかえて
「もっとやれたはず」――その悔しさが、また次への一歩となる。
レースを走り切ることだけでなく、自分自身を乗り越えること。
それがウルトラマラソンの本質である。