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サイドバック生まれランニング育ち

Western States Endurance Run 2022 Part3

written by TAKAHIRO WATANABE July 07, 2022

Forest hill 62mile 62位
(予定 11:49/実際 13:19)

怠いロードの登りが終わって、ようやくForest hill がみえてきた。エイドの手前でシンヤさん、藤岡さんが出迎えてくれた。

21時間ペースからは1時間半、24時間ペースからは56分ほど貯金。
ペースが落ちてきている。

シンヤさんに、

“クルーがいるのはエイドを出て直ぐの所です。何かいるものありますか?”

と聞かれたが、

“えーと、ジンジャーエール…”

としか言葉が出てこない。あまりそれ以外は摂りたく無い感じ。
やばい、とにかく仕切り直そう。
そんな想いでクルーエリアに到着。

クルーエリアには、クニさん、デイジーさん、藤岡さんご夫妻、シンヤさん、日高さん、本当に沢山の人が出迎えてくれた。
それだけで元気がでる。

椅子に座り、成城石井の10倍ジンジャーエールを飲む。胃がスッキリしてきた。


その他、少し補給をして、アイスバンダナに氷をセット。あまり休憩はせず、早めにエイドを出発。

出る時に、高橋さんがクルーエリアに到着。だいぶ持ち直した様子!

いよいよ、ペーサーの藤岡さんと走り出した。この半年間ずっと練習を見てくれたので、僕のフィジカルは誰よりもわかってるはず。そう思えるだけで頼もしい。
走りはじめて10分ほど経過した時だろうか。

“脚は全然動いてるね”

と藤岡さんが話したと思ったら、ペースが1段上がった。
そうか、脚の状態を見ていたのか。事前に脚が動くようなら、引っ張ってくださいとリクエストしていたのを思い出したw
もう、こうなったらついて行くしかない。腹を括って、藤岡さんを追いかける。

藤岡さん曰く、

“Forest hillで60位ほどだったから、これだけ脚が動くのだから、できる限りキャッチアップしていこう”

とのこと。抜く時に力を込めないと行けないので、日和そうだったけど、やはり目標がある方が良い。

そこからRucky Chuckyまでの16mile、実は殆ど記憶がない。とにかく、無心で藤岡さんについて行った。
Rucky Chuckyに着いた時、何故か、ドラゴンボールの”精神と時の部屋”を思い出した。気づいたら川沿いに立っていた。

藤岡さんによると、この区間は21時間ペースと全く同じペースで来ていたらしい。Foresthill で復活した高橋さんが後を追いかけたらしいが全く追いつけなかったとのこと。

脚は確かにまだ全然動いていたが、胃腸はさらに悪化していた。ロクテインエナジーももはやだいぶ摂取が厳しくなってきていて、

“弊社R &D副社長のマグダブーレは、サミットティーだけを飲みながら…”

という言葉がずっと頭をぐるぐるしていた。
なんだよ〜、無理じゃんと思ったw

ちなみに、ForesthillからRucky Chuckyまでの区間は標高も低く、まだ日も出ているので一番暑い想定だったのだか、ラッキーなことにそれほど暑くない感じがした。逆に、Rucky Chuckyにつく頃には少し肌寒さを感じるほど。
いよいよ、憧れのリバークロッシング。
想定では明るい時間に通過したかったが、今はすっかり暗い。

Rucky Chucky 78mile 59位
(予定 15:04/実際 16:37)


鶴見川と違い、本物のアメリカンリバーは、冷たかったw
身体が既に冷えていたので、本当に苦行。
早く川から出たい!
感慨にふける余裕は全くなく、とにかく素早く渡る。

渡りきると、デポしていた靴下と靴に履き替える。身体も冷えていたので、着替えもデポるべきだったと思った。

恵命我神散を飲み、心機一転、Green gateを目指す。

ところが、ここで急に気持ち悪くなる。流れを止めたからなのだろうか?

あまりの気持ち悪さに、大リバース。5回ほど吐いただろうか。胃がすっからかん。吐きながら、さっき補給で飲んだロクテインがそのまま出ていることに気づく。全く胃腸が動いてないんだな…
藤岡さんも心配そう。
とにかくゆっくりと歩きながらGreen Gateを目指す。

Green Gate 79.8mile 57位
(予定 15:42/実際 17:26)

Green Gateについて、コーラとジンジャエールを補給。もうロクテインは受け付けないので、フラスコにコーラを入れる。コーラで走れることは過去のレースからわかっていたが、所謂、最終兵器である。
あと20mileもあるのにここで投入か…
なかなかな展開に恐怖を感じながら、
“次のALTに辿り着けばRDLで走ったコースに合流できる!”
その一心で、藤岡さんについて行く。ゆっくりながらまだ走れている。

Auburn Lake Trails 85.2mile 45位
(予定 16:56/実際 17:45)

なんとかALTに到着。もうコーラも怪しくなってきたが、無理くり飲み込む。
今思うと、このALTからQuarry Rdまでが精神的にボトムだったと思う。本当に同じようなトレイルでデジャブの連続。何度か、藤岡さんに歩いてほしい旨伝えようと思ったが、踏みとどまった。

“歩いてもゴール時間が遅くなるだけ。9年待ったんだ。残りの数時間の苦痛なんて大したことないだろ”

そんなことばかりグルグル考えながら、藤岡さんの脚だけを見て走っていた。

Quarry Rd 90.7mile 55位
(予定18:07/実際 20:03)

エイドに着くと見たことのある背の大きな人がいた。なんと、スコット・ジュレクだ。
僕をみると、”ガンバ!ガンバ!”と言ってくれる。胃の調子が悪いというと、ピクルスジュースやジンジャーチュウを薦めてくれる。
全部無理そうなので丁寧にお断りすると、少し残念そうw

胃腸の方は、もうコーラどころか全部が厳しい。正に八方塞がり。しかも、少しハンガーノック気味で手が痺れている。

ただ、エイドに着く前に、走りながら少し思うところがあって、それを試してみることにした。
それは、暖かい白湯やスープを飲んでみるということ。
もしかしたら、これまでずっと身体を冷やしたり、冷たいものを補給していたので胃腸が冷えてしまって、動かなくなっているのでは?と思ったためだ。
暑いということばかり気にしていて、そこは盲点だった。

早速、お湯とチキンスープを飲んでみる。すると、胃腸が動く感じがした。
試しに、チーズケサディアを食べてみる。案外食べられる!冷たいコーラはダメだけど、とりあえずエイドで暖かいものを飲んで進めることが分かったのはデカかった。

エイドをでて、次のPointed Rocksへは、200mほど登る。この登りが終わればあとはウィニングランみたいなもんなので、とにかく藤岡さんについて行く。

途中、あのHigh way 49を渡る。
スコットの奥さんのジェニーがいて、彼女から、あとエイドまで1 mileよ!って言われる。
はっとして、Unbreakableを思い出した。
ジェフがトニーをパスしたシーン。
スローモーションで駆け抜けるジェフ。
ハイウェイを渡って左に行って、その時ジェフはトニーの位置を確認していたんだっけ。

Pointed Rocks 94.3mile 53位
(予定 19:10/実際 21:12)

やっと、Pointed Rocksに到着した。21時間ペースからは2時間遅れ、24時間ペースからは1時間20分ほどの貯金。

ここでもお湯とチキンスープを飲んで、エイドを後にする。あとは下ってから、最後の登りだ。

暫くするとホカカラー(青)の電飾に飾られたNo Hands Bridgeが見えてきた。

橋に着くと、藤岡さんが振り返って、

“よく頑張ったね。もうゴールまで直ぐだよ”

と言ってくれた。
その時、あぁ。やっと終わるんだな。
とそう思って、少し涙が溢れそうになった。

Robie Point 98.9mile 54位
(予定 20:41/実際 22:23)

Robie Pointは下から見るとオレンジの電飾が綺麗だ。とにかくそのオレンジの電飾に向かって歯を食いしばって登る。
それほど長くは感じず、遂に到着。

残り1.3mileのロードは淡々と走る。
遂に、High school内のMCの声が聞こえてきた。

Placer High School 100.2mile 55位
(予定 20:59/実際 22:42)

暗闇がパッと明るくなる。
夢にまでみたスタジアムに駆け込む。
ヨシコさんが待っていてくれた。

トラックを走っている時、不思議と感動は無く、安堵感に包まれていた。Green gateからずっと我慢の展開。下手をすれば大崩れしそうな所で、藤岡さんのご協力でギリギリ踏みとどまれた。
目標からはだいぶ遅れた(1時間42分)けど、Forest hillですでに1時間30分ほど遅れていたのを考えると、ペーサーがついてからは、ほぼオンタイムで走れたことになる。
一人で走ってたら絶対に無理だったと思う。

最後は藤岡さんと一緒にゴール。
長年追い求めた夢の舞台が遂に終わった。

トレランを始めてから13年。
当時一緒に始めた仲間は、もうやってない人も多い。
初めの頃はたくさん大会に出たり、無理をして怪我をしたり、トレランにちょっと飽きてレースから遠ざかったりもした。今はニュートラルな姿勢で良い感じの距離感で向き合えている。今後も熱しすぎず、冷めすぎず、無理なく出来るだけ長く続けていきたいと思っている。

女子スピードスケートの小平奈緒さんの言葉が、今回のWSERを経た自分の気持ちとして凄くしっくりきたので紹介する。

“五輪はその時を駆け抜けるものだと思っています。〜(中略) 〜 五輪に人生を懸けるというよりも、人生の中の1ページのその一瞬を充実したものにしたいという思いです”

今回、僕も人生の中の大切な1ページとして、WSERを駆け抜けることができた。そこで立ち止まるのではなく。

さあ、次はどんな山を走ろうか。

※今回GoProで走りながら動画を撮ってみた。
元気な前半ばかりだけどw

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TAKAHIRO WATANABE

TAKAHIRO WATANABE

IT戦士

小学校から大学まではサイドバック一筋。社会人になって激太り。体重のオーバーラップを止めるべく、一念発起で走り出す。
トレランチーム「すぽるちば」「STS」「シガウマラ」所属。

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XL: ウエスト:85-95 / ベルト幅:4 / 股上:27 / 股下:21 / ヒップ:120 / 裾周り:32.5
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