「ナイキ、トレランシューズ新製品でアウトドア市場本格参入へ」Nicholas P. Brown
https://jp.reuters.com/business/EYWIX5KY6JIOZBYHELJCAXNG74-2025-08-25/
記事を否定するものではありませんが、四半世紀以上前にACGのトレイルランニングシューズは既に存在していました。1999年Air Exploraid それ以前にもLava Domeは早すぎた山のランニングシューズとして存在はしていましたが、トレイルランニングという言葉を使用したのはAir Exploraid からだったと記憶しています。現在復刻モデルが発売されていますが、あまり注目されていません。やはり現代のパフォーマンスモデルが確立された上での復刻でなければ、ノスタルジーの強調であり、新しいユーザーには響かないでしょう。
当時の私は、「山なんか走る奴は日本にいねーよ」悪態をついておりました。私が山を走り始めたのはその10年後です。後にランニングカテゴリーの一部としてNike Trailが存在した事が、細々とでもトレイルランニング製品が継続するための命綱でした。規模の小さいACGカテゴリーでは、プロモーションや開発に資金は投下されず、ランニングカテゴリーの一部であるNike Trailとしてであれば、なんとか製品SKUが継続できるという現実的なお話です。ACG全体もNikeの持つ伝統的な卸チャネルの特性に合致していなかった為、ビジネス的に厳しい状況に追い込まれていた時期が長くありました。しかしながら、今回は状況が全く違います。B to Cである程度の売り上げ規模を確立できること、そしてスニーカーチャネルまでもがHokaやSalomon、それ以外にもNordaといったトレイルランニング系新興勢力によって侵食されている事実を会社としてようやく危機感を抱くに至ったのであれば、トレイルランニングシューズとACGが大きく飛躍できるチャンスなのかもしれません。つまり、今がマイナーであるトレイルランニングシューズとメジャーなライフスタイル市場にフックがかかったタイミングだということです。残念ながらトレイルランニングというスポーツがメジャーマーケットになったわけではありません。(ここを勘違いしている方々が業界にも多い)今回も全社のイニシアティブという解釈の下、ACGが利用されるのであれば、それはそれでACGらしい運命だなとも思うのです。そして数年後、またトレイルランニングがランニングあるいはNike Trailの傘下に戻っているかどうかは誰にもわかりません。仮にそうであってもよいから、Nikeというブランドがこのマイナースポーツに寄り添い続けるブランドであって欲しい願っています。
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