北海道一周4,000km・49日間の自転車旅日記。
北の大地に広がる豊かな自然、歴史、文化、食との出会いを綴る。
【期間】2023年7月25日〜9月11日(49日間)
DAY11:2023年8月4日(金)
知内町農村公園 発 → 道の駅横綱の里ふくしま → 白神崎 → 松前城 → 松前寺町 → 松前藩屋敷 → 旧笹浪家住宅 → 勝山館跡 → 江差町のホテル(泊)
DAY11移動距離107km
累積移動距離844km
青函トンネルと横綱の町

知内町農村公園を、まだ日の出前の薄明かりの中出発。テントの結露がひどく、どこかで天日干しする必要があった。

知内町には、北海道新幹線が通る「青函トンネル」の北海道側出入口がある。橋の上からその入口を見下ろすことができ、鉄道の大動脈がここを通っていることを実感。
途中立ち寄ったのは、福島町にある「横綱千代の山・千代の富士記念館」。開館前だったため、前の空きスペースをお借りして、濡れたテントを天日干し。ここ福島町は、人口約3,700人の小さな町から、二人の横綱を輩出している相撲の名所。静かな町に、偉大な歴史を感じた。
北海道最南端の岬

北海道最南端の「白神岬」へ。ここから津軽海峡を挟んで対岸の青森県・竜飛崎までは、わずか19.2km。距離の近さに驚く。
この日は風が強く、海は荒れ模様。白神崎に立つと、潮風に煽られる中で、北海道の果てを実感した。
北海道で唯一の和式城郭 松前城

次に訪れたのは、北海道唯一の和式城郭「松前城」。
江戸時代末期、北方警備の拠点として築かれた城で、箱館戦争では旧幕府軍と官軍の戦場にもなった。
かつては国宝にも指定されていたが、1949年に火災で焼失。現在の天守は1961年に再建されたものだが、重厚な構えは今も往時の風格を感じさせる。
松前城の北側に広がるのは、龍雲院、法源寺、法幢寺などが建ち並ぶ風情ある寺町エリア。江戸時代から続く歴史の香りが、静かに漂っていた。

追分ソーランラインをひたすらに

松前からは「日本海追分ソーランライン」へ。名前の響きは優雅だが、実際にはアップダウンが激しく、脚にこたえる道のりだった。気温も高く、汗だくで走行。後で写真を見返すと、Tシャツが汗でびっしょり。旅の厳しさが写っていた。
旧笹浪家住宅と勝山館跡

「旧笹浪家住宅」は、代々ニシン漁で栄えた笹浪家の旧宅。19世紀前期の建築で、現存する北海道の民家としては最古。日本海沿岸に点在する「ニシン番屋」の原型とされている。
続いて訪れたのは「勝山館跡」。標高100mほどの丘に築かれた山城跡で、1470年頃に建設。16世紀まで機能し、軍事・政治・交易の拠点だったという。静かな山道に、往時の緊張感を想像しながら歩いた。
江差港の散策

早朝に出発したおかげで、予定より早く江差町に到着。明日は奥尻島へ渡るため、フェリーターミナルの場所を下見しておいた。
港では、停泊中のイカ釣り漁船や、幕末の軍艦「開陽丸」を写真に収めた。
「開陽丸記念館」の見学は、奥尻島から戻った2日後に予定している。明日からの離島編に向けて、静かに気持ちを整える夕方だった。